Gear Review — Carry
THE NORTH FACE ローリングサンダー30|背負わずに、転がして行く
軽さを追いかけてきた人間が、空で5kg近いキャリーバッグを選ぶ。矛盾のようですが、駅から舗装路が続くなら、荷物は肩ではなく車輪に持たせたほうがいい。着いたときに残っている体力が、まるで違います。
Spec / スペック
- 容量
- 80L(30インチ)
- 重量
- 約4.5 〜 5.2kg(年式・モデルによる)
- サイズ
- 約 40 × 76 × 33 cm
- 素材
- 1000D ポリエステルTPEラミネート / 1680Dナイロン
- 車輪
- 2輪(スタンド兼用キャリーハンドル付)
- ハンドル
- テレスコープ式(左右どちらからも操作可)
※ ロットや年式により仕様が変わることがあります。購入前に最新情報をご確認ください。
01結論:背負うのをやめる、という選択
ULの話をさんざんしておいて、本体だけで4.5〜5kgあるキャリーバッグを勧めるのか。そう思われるかもしれません。でも、公共交通のキャンプで本当に効くのは、総重量よりも「肩にどれだけ乗るか」です。
駅から現地まで舗装路が続くなら、転がしたほうが圧倒的に楽です。荷物の重さは腕ではなく車輪が引き受ける。50代でキャンプを続けるにあたって、この道具に切り替えた影響はとても大きかった。
- 80Lの大容量で、冬装備も丸ごと入る
- 2輪+テレスコープハンドルで転がせる
- 1000Dの厚い生地で、雨と擦れに強い
- 背面に成型パネルがあり、重い道具でも型崩れしない
02本体5kg近い道具を、なぜ選んだのか
重量は年式やモデルによって約4.5kg〜5.2kgと幅があります。空の状態でこれだけあるのだから、UL的にはありえない数字です。
それでも選んだ理由は3つあります。ひとつは、生地が1000デニールのポリエステルTPEラミネートで、多少雑に扱っても壊れないこと。ふたつめは、背面に成型パネルが入っていて、焚き火台やペグのような硬いものを入れても型崩れしないこと。みっつめは、2輪の車輪とハウジングがしっかりしていて、悪路でも壊れないことです。
軽いカートはあります。ただ、キャンプ道具の重さと角に負けて、数シーズンで壊れました。結果的に、丈夫なものを長く使うほうが安く済んでいます。
03駅の階段と、2輪という現実
正直に書きます。階段はつらいです。2輪なので、階段では持ち上げて運ぶことになる。80Lを満載した状態だと、これがけっこうこたえます。
だから私は、エレベーターのある駅かどうかを事前に調べます。乗り換えの経路も、階段の少ないルートを選ぶ。この一手間で、当日の消耗がまったく違います。
逆に、駅の外に出てしまえば天国です。舗装路をゴロゴロ引いて歩く30分と、背負って歩く30分では、着いたときの体力が別物になります。焚き火を起こす気力が残っているかどうかが変わる。
0480Lという容量と、詰め方
80Lは、ソロキャンプには明らかに過剰です。それでもこの大きさを選んだのは、冬の装備が丸ごと入るからです。厚いシュラフ、マット、ダウン、幕。すべて入れてもまだ余裕がある。
詰め方にはコツがあります。重いもの(水、薪、燃料)を車輪側の底に。硬いもの(焚き火台、ペグ)は背面パネル側に沿わせる。柔らかいもの(シュラフ、着替え)を上と手前に。こうすると転がしたときに安定します。
Picogrill 398 のような板状の道具は、背面パネルとの隙間にすっと入ります。この収まりの良さが、パッキングを組むときに効いてきます。
05電車の中での置き方
車内では、必ず自分の前に立てて置き、両手で支えます。手を離すと、揺れで倒れる。80Lを満載したものが倒れると、周りの人に本当に迷惑がかかります。
混雑する時間帯は避けます。始発に近い時間か、上りと逆方向の時間帯を選ぶ。ドア横のスペースを確保できると、いちばん気が楽です。
バスは、路線によっては大きな荷物を持ち込みにくいことがあります。事前に確認しておくと安心です。
06正直に、気になる点
- 空で4.5〜5kg。軽さを求める道具ではありません。
- 階段がつらい。2輪なので担いで上がることになります。
- 砂利道・土の道に弱い。車輪が埋まります。キャンプ場内は担ぐか、少しずつ引くことに。
- 価格が高い。数万円します。
- 大きい。自宅での保管場所を取ります。ワイヤーを外して折りたためますが、それでも小さくはない。
07ザックとの使い分け
私はカート一辺倒ではありません。行き先の路面で使い分けます。
- カート:駅から舗装路が続く、バス停から近い、冬で荷物が多い
- ザック:山道を歩く、砂利のキャンプ場、階段の多い乗り換え
この判断のために、キャンプ場のアクセスを事前に細かく調べる癖がつきました。当サイトの キャンプ場ページ で徒歩の道の様子まで書いているのは、自分がその情報を必要としているからです。
08よくある疑問
キャンプ用のカートではないのでは?
もともとは旅行用のウィーラーバッグです。それでも生地と車輪の頑丈さが、キャンプの荷物に耐えます。
30インチとは?
バッグの高さを指します。80Lのモデルです。もっと小さい22インチ(40L)もあります。
雨の日は?
1000Dのラミネート生地で水濡れに強いですが、防水ではありません。専用のレインカバーがあります。
結局、買いですか?
舗装路のキャンプ場に通うなら、肩と膝への投資として意味があります。山道が多いなら、ザックのほうが幸せです。
09まとめ
軽さを追う人間が、空で5kg近い道具を選ぶ。矛盾しているようですが、公共交通のキャンプでは「肩に乗る重さ」と「総重量」は別の問題です。舗装路を転がして運べるなら、体は驚くほど楽になる。
階段の苦しさと引き換えに、着いたあとの体力が残る。焚き火の前に座ったとき、疲れ切っていないこと。それが、この道具の本当の価値だと思っています。